債権者集会
私は、東京地方裁判所から選任される破産管財人として、年に数件の破産事件を処理しています。
本日の午前中も、債権者集会に出席してきました。
「破産」というと、一昔前までは、利用する側も抵抗がありましたし、実際、手続きが完了するまで結構長期間かかっておりました。
現在では、破産事件を担当する東京地方裁判所民事20部のもとで、運用上の工夫がなされた結果、相当数の事件が迅速に処理される体制が確立しています。
基本的には、破産申立後、数日内に破産決定が出され、約3か月後に債権者集会が開催され、実質的にはそこで手続きが終了するよう運用されています。
その3か月間の間に、破産管財人は、破産者の財産を管理し、売却するものがあれば換価し、形成された破産財団を、最終的に債権者の方々に配当することになります。
破産管財人の仕事は、ケースにより広範に及びますが、一日中、債権者等の関係者からの電話が鳴りっぱなし、という時期もあります。
法的判断も必要ですが、むしろ、事務処理能力が問われる仕事のような気がします。
破産者本人が裁判所に来るのは、債権者集会の1回きりです。
その債権者集会も、特段、何も問題がなければ、ほんの5分程度で終了してしまいます。
債権者集会は、一昔前は、法廷で一件ずつ行われていたのですが、
現在は、裁判所内の広い普通の部屋に、7、8つのテーブルが置かれ、それぞれのテーブルに担当の裁判官がつき、複数の破産事件の債権者集会が同時並行で進行していきます。
「想像以上にあっけなく手続きが終了した」といった感想をもたれる方も多いようです。
このようにスピード感を持って処理されている破産手続きですが、
東京地方裁判所本庁での自己破産件数は、2万5694件(平成18年)もあるのです。
全国的には、自己破産件数は減少傾向にあるといわれていますが、東京の場合は、まだ増加傾向にあるようです。
裁判所の事件は、時代や世相を反映すると言われていますが、
まだまだ、景気回復したといえる時期ではないように思います。
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