思い出事件録

芦部憲法

2008.05.08

3日は憲法記念日、4日はみどりの日、5日はこどもの日・・・

祝日の意味をかみしめる間もなく、あっという間に通り過ぎて
いったGWでしたが、皆さまはいかがお過ごしでしたか?

憲法記念日だったから、というわけでもないのですが、
久しぶりに「憲法」の本を読み返しています。

「憲法」は、言わずと知れた国家の基本法ですが、
弁護士になって仕事で使うことは殆どなく、
自ずと憲法の基本書を紐解くことも少なくなっていました。

最近、思うところあり、再び、憲法の基本書を手にとっています。

私にとっての憲法の基本書といえば、やはり、芦部信喜先生の本です。

芦部先生は、すでに他界されましたが、知る人ぞ知る、
憲法の大家でいらっしゃいます。

受験生の頃、『憲法判例を読む』という名著に触れ、
短いながらも明快にまとめられた芦部憲法理論に引き込まれ、
以後、芦部憲法にゾッコンとなりました。

そんな憧れの芦部先生と一度だけ、お会いしてお話したことがあります。

それは、司法試験の口述試験のまっただ中でした。

当時の司法試験は、1次試験(択一)、2次試験(論文)を経て、3次試験(口述)と続いたのですが、
その口述試験の憲法の試験官が偶然にも芦部先生だったのです。

グループ一番で試験室に入室した私は、向かいあって座っている
試験官が芦部先生であることにすぐ気づき、
一方的に親近感を抱き、勝手にリラックスさせていただいたのを
よく覚えています。

芦部先生も、私がその日最初の受験生だったこともあってか、
上着などを脱ぎながら、にこやかに質問してくださいました。

出された問題は「海外渡航の自由」で、どちらかといえばマイナーな論点でした。

憲法では、判例についても把握していなくてはならないのですが、
芦部憲法を勉強しつくしていた私は、判例についても自信をもってすらすら?と答えることができました。

質疑応答が終わり、退室するときも、芦部先生は、にこやかに送り出してくださいました。

いろいろと大変な思いの多い司法試験ではありましたが、芦部先生と対面でお話できた、という貴重な体験をさせていただき、帰り道は、スキップでもしたいくらいでした。

あれからすでに15年以上が経ち、新しい憲法判例も多数出されております。

少しずつでも、最新の憲法の状況を吸収していこうと思っています。
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  ~あなたの身近な法律アドバイザーとして~
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   『相澤法律事務所』 弁護士 相澤愛
     https://www.aizawa-law.jp/
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