法律よもやま話

正当防衛

2008.05.22

Aが先に手を出したところ、Bが反撃してきました。
Aは、Bの反撃に対しさらに暴行を加え、Bに傷害を負わせてしまいました。
傷害罪に問われたAには正当防衛が成立するでしょうか。

自分の不正行為が招いた侵害に対して正当防衛が成立するかどうか、という問題は、かつてから刑法の論点として有名でしたが、平成20年5月20日、最高裁判所が、正当防衛は成立しないという初めての判断を下しました。

言ってみればこれだけの結論なのですが、具体的な事実関係をご紹介しましょう。

午後7時30分、B(51歳)は自転車にまたがりながら、路上のごみ集積所にごみを捨てていました。
そこへ帰宅途中のA(41歳)が通りかかります。
Bの姿を不審に思ったAが声をかけたところAとBは言い争いになります。
そしてAはBの左ほおを手けんで一発殴打して走り去ろうとしました。
ところが、Bもそれだけではすみません。
自転車でAを追いかけ、背後からA強く殴打し、Aを押し倒します。
倒れたAは、護身用の特殊警棒を取り出し、Bの顔面や腕などを数回殴打し、Bに顔面挫創、左手小指骨折など3週間の加療を要する傷害を負わせました。

この事案、いかが思われましたか。

きっかけはたいしたことではありません。
大の大人が、たかがごみ出しのことで喧嘩になり、
しまいには、特殊警棒までが出てくるのですから、
全くわからないものです。

結局、どっちもどっちなのですが、
一般的な感覚からしても、正当防衛が成立しないという結論は、
受け入れられるものではないでしょうか。

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  ~あなたの身近な法律アドバイザーとして~
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   『相澤法律事務所』 弁護士 相澤愛
     https://www.aizawa-law.jp/
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