法律よもやま話

スキー場での事故

2008.01.12

三連休、スキーにおでかけになられる方も多いことでしょう。
私もお正月に親戚と一緒にスキーを楽しんできました。

でも、楽しいスキーも一歩間違えると、大きな事故につながりかねません。
初級に少し毛の生えた程度の私は、後方からハイスピードで追い抜いていくスキーヤーにヒヤッとしたことが何度もあります。また、後方から降りてきたスノーボーダーに衝突されひっくりかえり痛い思いをしたこともあります。
このように、上から滑り降りてきたスキーヤーが下方を滑るスキーヤーに接触し事故が発生した場合、みなさんは、どちらのスキーヤーに責任があると思われますか。

平成7年3月10日に出された最高裁判所の判例をご紹介しましょう。
北海道のスキー場で、上方から小さくウェーデル等でターンしてきた大学生A君が、下方を大きくパラレルターンで滑降をしていた20代の主婦Bさんと衝突し、Bさんが骨折や頭部打撲等の傷害を負い、約3ヶ月の入院治療を要する事故が発生しました。
このケースにおいて、最高裁判所は、『スキー場において上方から滑降する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う』と述べています。そして、このケースでは、上方から滑降していたA君は、事故現場が急斜面ではなく下方を見通すことができたのだから、時間的な余裕をもって下方を滑降しているBさんを発見し本件事故を回避できたはずだが、回避できずにBさんに衝突してしまったA君には注意義務違反があるとして、A君の損害賠償責任を認めました。

様々なレベルや年齢のスキーヤーが混在するスキー場では、いろいろな理由で事故が発生する可能性がありますが、原則として、上方から滑走する人は、下方を滑走する人の動静に注意し、接触や衝突を回避する義務があるといえます。前記最高裁判例以降、同様の事案に関する最近の裁判例でも、同様の理屈がとられています。

後方から滑る方が、しっかり前方を注意して、追い抜く際にぶつからないようにする・・・一見、当たり前のことのようですが、みなさんも、より慎重に、くれぐれも注意をされながら、スキーをお楽しみくださいね。

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